この時計は当店が唯一お勧め出来る高性能自動巻クロノグラフです。
しかも今まで目にしたことが無い最小の35mmで研究心に火がつき、調べてみました。
モバードにより1969年にクロノグラフの三大条件であるピラーウィール、カップリングクラッチ、スライディングギアを備え、頂点に達していた手巻クロノグラフに自動巻を組み込む事に成功しました。
同じ年に他の2社からも発売されていましたが三大条件を備えておらず、修理泣かせの機械として短期間で生産終了しました。
残念ながらクォーツ化の流れの中でモバードPHC3019や同じグループでPHC3019の供給を受けていたゼニスも1975年には生産を終了してしまいました。
この時計は1992年12月、当店が輸入を再開したリズム時計(シチズンブランドのクロックを製造する会社でウォッチは不得意)がゼニス クロノグラフ(エルプリメロ)の輸入を再開したのをきっかけに取引をした当時には生産されていませんでした。
文字板上にプリントされた四角のマークは1984年、エルプリメロの製造が再開されてから使用されていたので、当店がゼニスの取扱いを開始してからは見かけなかったので1992年の間に作られた時計と思われます。
いずれにしても防水ケースを断念してムーブメントぎりぎりの35mmケースは初めて目にした感動に値する希少品です。
キャリバーナンバーの刻印もゼニスのキャリバーではなく、スイス最大のマニファクチュールであるモバードPHC3019が刻印されているのも興味があります。